就学している障害児の健全な育成を図ることを目的とした放課後等デイサービス(放デイ)は、近年事業者も利用者も急増しています。福祉とは無縁の営利業者も参入し、ずさんな運営が問題となったことから、2017年4月から管理責任者や職員配置の要件が厳格化されました。

そこで、放デイの現状と、これからどのような支援が求められるのかをまとめました。

CONTENTS:

1.放課後等デイサービス(放デイ)とは

2.放デイの現状

3.管理責任者・職員の要件厳格化

4.基本活動

5.放デイは安心できる居場所

6.まとめ

1.放課後等デイサービス(放デイ)とは

放課後等デイサービス(以下放デイ)は、2012年4月に児童福祉法に基づき創設された、まだ比較的新しいサービスです。国などが利用料を負担し、就学中の障害児が放課後や土日、夏休みなどの休暇中において、学校と連携しながら生活能力向上のための訓練を継続的に行うことによって、障害児の自立を促進するとともに、放課後等の居場所づくりを行っています。

同法により対象者は6~18歳とされ、その多くは発達障害児と言われています。該当する子どもの保護者が自治体に申請し、受理されれば利用できます。

 

2.放デイの現状

日本福祉学会で発表された「放課後等デイサービス事業の現状と意識に関する調査」によると、東京都内の事業所状況は下図の通り、経営主体は、民間企業37件(34.9%)、特定非営利法人34件(32.1%)、社団/財団法人・社会福祉法人25件(23.6%)、その他10件(9.4%)となった(n=106)。開所日は、平日の平均値が4.89日(標準偏差0.79)、土曜日の開所は84件(74.3%)、日曜日の開所は、32件(28.3%)となっています。

経営の主体は、民間企業と特定非営利法人の割合が同じくらい30%強で、次いで社団/財団法人・社会法人となっていて、さまざまな経営主体によって運営され、ほとんど毎日開所していることが分かります。

3.管理責任者・職員の要件厳格化

児童発達支援管理責任者の資格取得に関して、平成29年4月改正以降、資格を得るために必要な研修の受講資格が変更になります。それまでは障害者の保険や福祉、医療、教育、相談などの分野に関して5年から10年以上直接携わるものであるか、または相談支援や対象の国家資格等の業務に関して10年以上勤務していることと定められていました。

変更後は障害者や障害児について、直接支援の経験が3年以上であることが必須となりました。この実務経験3年間については、児童福祉や障害児者への支援経験であって、高齢者介護は要件を満たしません。保育所や放課後児童健全育成事業なども新たに加わった対象施設や事業の例となっています。

職員も同様に、それ以前は指導員または保育士とされていますが、改正後は児童指導員または保育士障害福祉サービスの経験者を配置することが条件となります。またこれら従業者の半数以上については、児童指導員または保育士でなければなりません。障害福祉サービス経験者に関しては、高等学校卒業等かつ2年以上障害福祉サービスに従事した者と定められています。

 

4.基本活動

厚生労働省「放課後等デイサービスガイドライン(以下、ガイドライン)」には、基本活動として、「子ども1人ひとりの放課後等デイサービス計画に沿って、下記の基本活動を複数組み合わせて支援を行うことが求められる」としています。

↓↓

ア.自立支援と日常生活の充実のための活動

子どもの発達に応じて必要となる基本的日常生活動作や自立生活を支援するための活動を行う。子どもが意欲的に関われるような遊びを通して成功体験の積み増しを促し、自己肯定感を育めるようにする。将来の自立地域生活を見据えた活動を行う場合には、子どもが通う学校で行われている教育活動を踏まえ、方針や役割分担等を共有できるように学校との連携を図りながら支援を行う。

イ.創作活動

創作活動では、表現する喜びを体験できるようにする。日頃からできるだけ自然に触れる機会を設け、季節の変化に興味を持てるようにする等、豊かな感性を培う。

ウ.地域交流の機会の提供

障害があるがゆえに子どもの社会生活や経験の範囲が制限されてしまわないように、子どもの社会経験の幅を広げていく。他の社会福祉事業や地域において放課後等に行われている多様な学習・体験・交流活動等との連携、ボランティアの受入れ等により、積極的に地域との交流を図っていく。

エ.余暇の提供

子どもが望む遊びや自分自身をリラックスさせる練習等の諸活動を自己選択して取り組む経験を積んでいくために、多彩な活動プログラムを用意し、ゆったりとした雰囲気の中で行えるように工夫する。

5.放デイは安心できる居場所

ガイドラインでは、「放課後等デイサービスは、支援を必要とする障害のある子どもに対して、学校や家庭とは異なる時間、空間、人、体験等を通じて、個々の子どもの状況に応じた発達支援を行うことにより、子どもの最善の利益の保障と健全な育成を図るもの」とされています。

一般に、放課後は友だちと遊んだり、塾や習い事に通ったり、学童を利用したりする小学生が多いと思いますが、障害のある子どもたちは放課後を主体的に楽しく過ごすことが難しいと言われています。

障害児やその保護者のニーズは多種多様ですので、そのニーズに応えるように放デイ事業の支援や内容も広がっています。また、学年や年齢に応じた支援、関わりが求められており、その支援の内容もさまざまです。

放デイには、障害のある子どもたちが、家庭でも学校でもない、ありのままの自分を安心して出すことができる「居場所」となることが求められます。

6.まとめ

放デイサービスの事業者や利用者が急増するなか、残念ながらずさんな運営から「虐待」等の事案も起き、管理者や職員の要件が厳格化されました。運営規定の徹底や、保護者や学校との連携も積極的に図っていく必要があります。

その上で放デイには、何らかの障害をもつ子どもたちがありのままの自分を臆することなくさらけ出し、安心・安全に過ごせる居場所であることはもちろん、将来の自立を見据えて、1人ひとりに適した充実の支援であることが求められます。

遊びのなかで表現する喜びや自然とコミュニケーションができるようなプログラムであったり、自己選択できる多彩なプログラムであったり、自己肯定感を得るような内容が期待されるでしょう。

「よく笑うようになった」「本当に通わせてよかった」「先生大好き!」などと保護者や本人に言われる放デイであって欲しいですね。

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