「ヒーローごっこ」や「おままごと」など、今も昔も子どもたちに人気のある「ごっこ遊び」。実はただ楽しいだけではありません。ごっこ遊びには「脳と心」の成長に関係する驚きのメリットがたくさんありました!ここではごっこ遊びのメリットや親の効果的な関わり方をご紹介します!
CONTENTS:
1.計画を立てて実行する能力《メリット①》
2.イメージトレーニングで想像力や読解力もUPする!? 《メリット②》
3.観察力、表現力の向上《メリット③》
4.コミュニケーション能力が上がり、社会性が育つ!《メリット④》
5.集中力、考える力を育む《メリット⑤》
6.親の関わり方~イメージ力を膨らます声かけ
◆【親が子どもの「ごっこ遊び」の相手となっている場合】
①子どもの展開を遮らない
②想像力を膨らます声かけ
③登場人物を増やす裏ワザ
◆【子ども同士で「ごっこ遊び」をしている場合】
7.まとめ
1.計画を立てて実行する能力《メリット①》
子どもたちが「ごっこ遊び」を始めるとき、「わたしがママ役やるから、あなたは子ども役ね」「私もママ役がいい」「じゃあ次は私がママ役だよ」「さあ、ご飯だからお皿を並べてくれる?」といった具合に、まずは役割分担から始まり、無意識のうちに目標やルールを決め、それを実行していきます。誰かがルールから脱線しそうになれば、ちゃんとそれを引き戻す子どもも出てきます。
単なる遊びのようですが、そこにはしっかりとした構造があることに驚かされます。
2.イメージトレーニングで想像力や読解力もUPする!? 《メリット②》
「ごっこ遊び」とは、何かになる遊びです。つまり、何かを真似てその人物(動物)になりきって遊ぶわけです。子どもながらに遊びながらイメージを広げ、右脳を活性化し、いわゆるイメージトレーニング的なことを行っています。
このイメージ力はとても重要で、この能力がしっかりと育っている子どもは、本を読みながら本の内容を頭の中で映像としてイメージを膨らませることができます。逆にイメージ力がないと、本を読んでも文字そのものは読めるのに、内容がさっぱり理解できていないということになってしまいます。
最近の子どもは読解力がないと、しばしば問題にされますが、動画やゲームなど、一方通行のイメージを受信するだけでは、なかなか育ちにくいのかもしれません。その意味でも「ごっこ遊び」はイメージトレーニングに優れていると言えるでしょう。
3.観察力、表現力の向上《メリット③》
観察力や表現力が豊かになるのも「ごっこ遊び」の特徴です。何かになりきるためには、まずは観察しなければ始まりません。子どもは最初に母親を真似、父親を真似、よく行くお医者さんや看護師さんを真似、保育園の先生を無意識に観察し、真似るようになります。
さらに、自分のイメージを相手にうまく伝えるためには表現力が欠かせません。どう表現すれば分かってもらえるのか、もっと楽しく面白くなるのかを考え、自分の役をより上手に演じようと、まるで本物の役者のようになりきります。自然と表情や声音も使い分けたりするなどして表現力がぐんぐん磨かれ、豊かになっていきます。
4.コミュニケーション能力が上がり、社会性が育つ!《メリット④》
おままごとで「これどうぞ」「ありがとう」というやりとりも、1種の立派なコミュニケーションですし、ヒーローごっこで、ヒーロー役が悪者役につかまった子ども役を助けるシーンなどでは、思いやりの精神も育まれます。
そうして「ごっこ遊び」を繰り返していくうちに、より高度で緻密な内容を求めるようになり、どんどんハイレベルな会話をするようになっていきます。すなわちコミュニケーション能力がみるみる発達していくのです。当然語彙量も増え、言葉がぐんぐん育っていきます。
そうしたコミュニケーションの楽しさを覚えることが、社会性の構築に繋がっていくと言われています。
5.集中力、考える力を育む《メリット⑤》
教育改革で、いま子どもたちにいちばん求められている「考える力」。一方で子どもたちの「集中力が低下している」と問題にもなっています。これらは当然ながら一朝一夕で簡単に身につくものではありません。
「ごっこ遊び」はコミュニケーションをしながら、即座にリアクションしないと成り立たない遊びです。相手の反応をみて、自分がどう言葉をかければよいか、どのような行動をとれば、自分が思った方向に進むのか、瞬時に自分で判断しなければなりません。それには相手の言葉やそのトーン、表情などを集中して見聞きする必要があります。ときに意見がぶつかってケンカになってしまうこともあると思いますが、それをどう解決するのかも自分たちで考えます。今の子どもたちが苦手としている「集中力」や「考える力」も、「ごっこ遊び」を楽しみながら行っているうちに自然と鍛えられていくと言えるでしょう。
6.親の関わり方~イメージ力を膨らます声かけ
◆【親が子どもの「ごっこ遊び」の相手となっている場合】
①子どもの展開を遮らない
子どもは大人が思いもよらないような行動に出るもので、ときに大人の理屈では理解できないこともあります。例えばおままごとで、みかんを丸ごとお鍋に入れて「みかんスープだよ」と言うかもしれません。それを親が「それはありえない」「みかんスープなんておかしいよ」などと言うのはNG!
たとえ子どもが非現実的な言動をしたからといって、それを全否定するのではなく、極力子どものもつストーリーの展開を遮らないようにします。どんな展開になっていくのか「へー、みかんスープ?おもしろいね。どんな味になるのかな」などと促していっしょに見守りましょう。
②想像力を膨らます声かけ
親が子どもの「ごっこ遊び」中に声かけするなら、おすすめは子どものイメージをさらに膨らませてあげられるような声かけです。
「これはなんていうお料理?」「どんな味がするの?」
「ヒーローさんはどこから来たの?」「誰を助けてくれるの?」
などといった、子どもに考えさせ、イメージを膨らませるヒントとなるような質問をします。子どもは自分でイメージを膨らませてストーリーを考え、想像力豊かになっていきます。
③登場人物を増やす裏ワザ
子どもと親が1対1で「ごっこ遊び」をしていて、少し行き詰った感があったら、ぬいぐるみや文房具などを使って登場人物を増やすのも効果的な裏ワザです。
「あ、クマのポン太くんもこのケーキ食べたいって」「(声音を変えて)ぼくにもちょーだい」
「おっと、なんとえんぴつさんも匂いにつられてやってきちゃいました」「(かしこまった声で)私にもいただけますか」
などと言えば、子どもは大喜び。さらなる展開が楽しめるでしょう。
◆【子ども同士で「ごっこ遊び」をしている場合】
基本的に親は口を出さず、温かく見守りましょう。ただ危険な行為をしそうになったときだけ注意し、多少のことは本人たちに任せて自由に遊ばせてあげてください。子どもたちの生み出すストーリーやその世界観をいっしょに楽しみましょう。
7.まとめ
「ごっこ遊び」が今も昔も人気の遊びだということは分かっていましたが、それにはちゃんと理由があったからなのでしょう。
最近では特に男児が、年齢が上がるごとに「ごっこ遊び」より「デジタルゲーム」を好むようになってきていると言われていますが、これだけたくさんの優れたメリットがある「ごっこ遊び」。親が上手に関わることで、さらにその効果が上がるわけですから、まずは親子でいっしょに楽しんで、「ごっこ遊び」好きな子どもに育ててみてはいかがでしょうか。