ここ数年で急速に普及したスマートフォン。育児中の「ながらスマホ育児」や、子どもにスマホを持たせて1人遊びさせる「スマホ育児」という言葉も誕生しました。これらに賛否両論あるものの、やはり「あまり良くない」と考えている親が多いようです。

そこで、「ながらスマホ(育児)」や「スマホ育児」の現状と問題点、そしてスマホなしでもできる育児について考えてみました。

CONTENTS:

1.「スマホ育児」がよくないと言われるのはなぜ?

2.2歳児の8割以上がスマートフォンを利用!

3.「ながらスマホ」は正常な脳の発達が阻害される!?

4.65.9%の母親が「ながらスマホ」をし、約8割は良くないと思っている

5.育児における理想のスマホ活用術

6.スマホ育児より触れ合い育児

7.スマホの代わりになる最強の遊び

1.「スマホ育児」がよくないと言われるのはなぜ?

スマホ育児」とは、おもちゃや絵本などの代わりに、スマートフォンやタブレット端末などを子どもに与えて育児に利用することです。スマホ育児は乳幼児の健全な発達や発育に悪影響を及ぼすと警鐘を鳴らす専門家は少なくありません。親子の触れ合いやコミュニケーション不足から、感情が著しく乏しい、いわゆる「サイレントベビー」になったり、「言葉の発達が遅れる」、「落ち着きがなくなる」といったリスクがあると言われています。

また、「スマホ依存」になる可能性もあり、就学してからも学習時間が保てなかったり、睡眠時間を削ってまで没頭しまったりすることが問題となっています。「スマホを持っているだけで成績が下がる」と言い切る専門家もいるくらいです。

2.2歳児の8割以上がスマートフォンを利用!

ベネッセ教育総合研究所が、0歳6ヵ月~6歳就学前の乳幼児を持つ保護者を対象に「乳幼児の親子のメディア活用調査」をしたところ、「1週間のスマートフォン使用頻度」は、2歳児の利用が80.4%と最も高く、4人に1人以上がほとんど毎日利用していることが分かりました。また、0歳児においても、24%がスマホ利用をしていて、これは4年前に比べて1.7倍も増えています。その他、1歳児は64.6%、3歳児が77.9%、4歳児が77.8%、5歳児が73.2%、6歳児が76.0%と、いずれも高い利用頻度であることが分かります。

使用目的は画像動画YouTubeを見せていることが多く、「子どもに使わせないようにしている」と答えた親は僅か9.1%でした。

3.「ながらスマホ」は正常な脳の発達が阻害される!?

ながらスマホ」とは、「ながらスマホ育児」とも言われ、養育者がスマートフォンを利用しながら育児をすることを言います。スマートフォンの普及に伴い、「ながらスマホ育児」が国内外で増えていて、問題視する専門家もいます。

アメリカの大学のある研究では、スマホに気を取られている母親に育てられた赤ちゃんは、正常な脳の発達が阻害され、成人後の感情障害(気分障害とも呼ばれ、うつ病などを指す)のリスクが高まると発表しています。

上図のように、一般に大人は社会で、「私」と「あなた」と「物や人」という「三項関係」のなかで生活しています。しかし、乳児は「私」と「あなた」の「二項関係」しか作れません。このとき、「私(乳児)」にとっての「あなた(両親や祖父母などの養育者)」が「私」ではなく、スマホを見ていたとなると、正常な二項関係を築く経験が不足します。基礎が不足したまま年齢が上がった場合、三項関係をうまく築くことができなくなってしまうのです。

4.65.9%の母親が「ながらスマホ」をし、約8割は良くないと思っている

株式会社ボーネルンドが去年実施したインターネット調査(1歳~4歳の子どもを長子に持つ全国の母親1,000人を対象)で、「あなたは子どもと一緒に遊ぶとき、スマートフォンを操作することがありますか」という質問を行ったところ、「よく見る(17.7%)」「たまにある(48.2%)」「あまりない(24.5%)」「まったくない(9.6%)」で、全体の約2/3にあたる65.9%もの親が子どもと一緒に遊びながらスマホを利用する「ながらスマホ」をしていることが分かりました。

また、「子どもと一緒に遊ぶときに、スマートフォン操作することについて、どのように思いますか」という質問に、「問題ない(7.0%)」「仕方がない(13.3%)」「あまり良くない(54.8%)」「あまり良くない(24.9%)」と、実に79.7%の親が「ながらスマホ育児」を良くは思っていないことが分かりました。その理由として、子どもの感受性への影響を心配している声が多く挙がっています。

5.育児における理想のスマホ活用術

それではスマートフォンと育児はどのように関わっていけばいいのでしょうか。以下は専門家などが提唱する活用法です。できるところから始めて、毎日できたことをチェックし、全てチェックが入るようにできたらいいですね。

【子どもへの与え方】

□子どもに見せるコンテンツは親が選ぶ

□利用時にいっしょに見たり、遊んだり、話しかける

□1日の合計利用時間を決める

□寝る前は利用しない

□外出先ではスマホ以外でおとなしくさせる工夫をする

【保護者のスマホ利用について】

□子どもの前ではスマホをしまう

□やむを得ず使うときは理由を説明する

6.スマホ育児より触れ合い育児

「5」のようなスマホと育児の上手な関わりをすることで、自然と親子のコミュニケーションが豊かになり、子どもは親に「愛されている」と実感し、安心感を得ます。特に月例が低ければ低いほどこの安心感がとても大切です。

子どもは親に愛されていると安心すると、親の気を執拗に引こうとする行動が減り、親から自立した行動をとるようになります。1人遊びもできるようになったり、夜もぐっすり眠ってくれるようになったり、それで却って親の自分時間が増えたりもします。

「スマホ育児」ではなく、こうした「触れ合いの育児」の影響は、幼児の期間のことだけではありません。大人になってからもリスキーな行動や薬物依存、うつ病の発症などの予防になるとも言われています。ぜひ「5」のチェックリストを実践してみてくださいね。

7.スマホの代わりになる最強の遊び

外出先で、また親が家事や仕事で忙しいとき、おとなしくなってくれるのでついつい渡してしまいがちなスマートフォン。そんなとき、スマホの代わりになるアイテムをご紹介します。

※ここでは特に2歳児のスマホ利用率が高かったので、2~3歳児を中心としたアイテムを挙げています。

◆折り紙

◆お絵かき・ぬり絵

◆パズル

◆人形

◆ミニカーなど乗り物系の玩具

◆絵本

いずれも親子いっしょに遊ぶこともでき、1人遊びもでき、外出先でも重宝するものばかりです。日ごろ時間があるときに一緒に遊び、忙しいときには「今お料理しているから、先に作ってみせてくれる?」などと言ってみましょう。きっと「スマホ育児」「ながらスマホ育児」から一抜けできますよ!

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